周杰倫@武道館

 本人の自覚としてはファンでもないのに、それにしてはやけに作品を聴いているジェイ・チョウの武道館公演などに身を置いているワタシ。思えば遠くへ来たものだ。いや、家からうっかり歩いて来てしまったという意味ではちっとも遠くなかったのだが。
 席に辿り着いてみると、あろうことか、アリーナの前から3列目という、考えられない良席だった。ブリッツじゃないのよ。武道館なのよ。誘ってくれた上にチケットを手配してくれた友だちのゴッドハンドぶりに感謝すべきかどうかすら迷うようなステージの近さだ(いえ、もちろん感謝してます、ありがとう、aさん)。
 ものすごく場違い感があったらどうしようという不安もないではなかったのだけれど、周りを埋め尽くしている女性の皆さんは(そして、ザッと見には女性の数%程度と思われる男性の皆さんも)、他人がどうかなどということにほとんど関心を払わない方々だったのだった。・・・かどうかはわからないが、まあ、僕はさほど場違い感を感じることもなく、アリーナで開演を待っていられたのだった。僕の席の後ろの列で交わされる会話は中国語で、その少し後ろには香港から来たと思われる人たちもいた。



 僕がよく知っている「(単独公演の)コンサート」というものは、客電が落ちて、バンドが出て来て、概ね10〜30曲くらい演奏して、本編が終わって、アンコールがあって、客電がついて退場を促される、というふうに構成されている。今回のジェイの公演も、まあ、この枠組みに沿っていると言えば、もちろん沿っていた。はずなのだが、全く違うものに感じられた。
 ひとことで言えば、「概ね10〜30曲くらい演奏して」の部分がショウのフォーマットだったことによる。もちろん、ここでフォーマットと言っているのはあくまでも僕の感覚的整理用語でしかないのだが、感想を持つのは僕なので特段の不都合もないだろう。非難の意では全くないし、ついでに言えば、コンサートの方がショウよりも偉いフォーマットだとかいう意味でも全くない。僕の中で違う感じに認識されるというだけだ。
 ショウのフォーマットで僕が経験したことのあるものと言えばザ・コンボイのパフォーマンスで、それを補助線にしてステージを思い返すと、僕的にはけっこう腑に落ちるところがある。彼(ら)がやりたいのは単なる楽曲演奏を超えたショウなのだ。エンターテインメントなのだ。周シェフ特製中華懐石コースでのおもてなしなのだ。僕の中で凝り固まっているような「コンサート」ではないのだ。

 「懐石」などと形容してみたのは、さまざまな趣向を凝らした数曲のパッケージが次また次と供されたところが、いろんな料理がちょこっとずつたくさん出てくるところと重なるからだが、予備情報ほぼゼロ(かつコンサートなフォーマットのイメージ)で臨んだ僕は、ジェイがしょっちゅう引っ込んでしまうことに驚いた。ひとえにお召し替えをはじめとする「次の皿」の準備があるからなのだが、そのちょっとした間合いにはなかなか馴染めなかった。そうこうするうちに、その合間は着席して休んでしまう作戦に到達した足腰に衰えの見えるクワランタであった。

 セットリストは、とてもじゃないが覚えられない。と言うか、全ての作品を聴いているわけではないし、覚えている曲名はほぼゼロと言って過言でないので、そもそも無理な話だ。たぶんオープニングからして知らない曲だったと思う。アリーナ3列目としては失格だろう。デモソンナノカンケイナイ。
 コンサートだというアタマで身構えていると、あまりに細切れな印象を持つわけだけれど、ショウだと思ってみれば、麦芽糖から牛仔很忙のところとかいいグルーヴだったし、聴媽媽的話も素晴らしかった。ほんと佳曲だ。ストリングスを加えたセットも悪くなかった。CDにおいてもストリングスのアレンジは割と僕の好みのことが多い。もっとも、かわいい後輩の皆さんとのセッションや彼らの演奏は僕の興味には引っかからなかったので、中盤はやや間延びしてしまった感がある。アンコールは重く烈しいグルーヴでたたみかけて終わったが、たぶん知らない曲だったと思う。オープニング曲を知らず、アンコール曲も知らない。いいのか、そんなヤツが3列目で。誠に遺憾。
 ピアノ、ギター、津軽三味線、ドラムス。ダンス、ヌンチャク、ディアボロ(調べた)。多彩な才能を器用に披露した。ダンスのクオリティの高さに意表を突かれた。

 アリーナ3列目だと本人の顔や表情がよく確認できてしまうわけだが、・・・ああ、これを言うのはどこかしら勇気が要るが、ジェイの顔立ち(特に横顔の印象)は引退後の中田英寿にそっくりだなー、と思った。
 ・・・で結びというのも何なので、ジェイに夢中! なわけでは全くなく、ただ彼の紡ぐ音楽を評価しているという立場から、「コンサート」のフォーマットで、もっとタイトに演奏しまくるバージョンを味わってみたい、という感想(なんだか希望なんだか)を添えておく。たぶん、それは「CD」のフォーマットだ、というのが彼(ら)のキブンなのだろうとは思いつつ。・・・ちっとも結びになってないな。

謝辞:セットリストなどをこちらに教わりました。
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by mono_mono_14 | 2008-02-17 23:59 | 音/musica | Comments(2)
Commented by acine at 2008-02-20 21:32
いやー、さすがのまとめでございます。 monoさん。
”周シェフ特製中華懐石コースでのおもてなし”というのが本当に
言い得て妙! 座布団10枚という感じです。
今回特にそんなコースというかゴッタ煮&ぶつ切れ感があったのは
確かですね。私もmonoさんのおっしゃるよく(知っている)コンサート
ばっかり行ってたから、このノリは最初はもうビックリしましたが、慣れると
これはこれで楽しいもんなんですよね~。まるで遊園地のようで。
だけど、決して器用ではないと思うけど、才能にはかなり恵まれてると
思うジェイは音楽で勝負できると思うので、私も今度は音楽中心で
タイトに演奏・・・大賛成です。前回の方が、もっとシンプルだったんですよ。
今回はまさにゴッタ煮コース状態で。
中田にそっくり・・・決して造形的にハンサムではないけど、
なんとも清々しい美しい顔をしてる人だな~と私も思います。
あれで、間近で見ると凄いオーラがありましたよ。
Commented by mono_mono_14 at 2008-02-21 17:12
>>acineさん
いえいえいえ。ちっともさすがのまとめじゃないですし、座布団10枚は放出しすぎです。でも、読んでもらえて&褒めてもらえて&コメントまでいただけて嬉しいです。いろいろ引っくるめて本当にありがとうございます。
得難い体験だったし、とても面白かったのですが、対象を丸ごと愛してないと、どっぷりとは入り込みにくいステージ形式ではありました。もう少し演奏密度が高い方が嬉しかったかなあとの思いもありますが、ジェイのパフォーマンスは素晴らしかったと思います。
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