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秋の食卓

 今はもう秋。誰もいない海。というわけで秋らしい食卓を目指す。『有元葉子イタリア日和』より3品。ホタテを薄切りにしたり椎茸を焼いたり牛肉を煮込んだりするだけなので、料理自体はわざわざ取り上げるほどのことはないような気はするが、この教科書を持っているクワランタ親爺はなかなかに稀有かも知れぬと思い取り上げてみる次第。酔狂な向きは次行以下も読み進められたし。ただし、あらかじめ断るが、得るものはない。



 3品のリチェッタを並べ見て時間配分を考えてみる教科書クッキンガー。うっすらとした成長の証しだ。考えるまでもなく煮込みに時間がかかるわけだから、それを煮込めるところまで持っていくことにする。
 牛肩ロースを5センチ角に切るとある。その辺のスーパーで肩ロースのカタマリなど売っているはずもなく、当然の助動詞べしを添えてカレー用と書かれたサイコロ肉をレジへと運ぶ。言うまでもなく5センチ角なんてものではなく、3センチ角といったところだ。大柄ながら器の小さいクッキンガーには打ってつけだ。ニンジン、セロリ、タマネギ、ニンニクをみじん切りにしておいてから、肉に塩胡椒をしてフライパンで焼き色をつける。煮込み用の鍋に移す。フライパンに野菜を投入し丁寧に炒める(なお、この丁寧は自称である点に留意されたし)。10分ほど炒めたのち、煮込み用の鍋に移す。赤ワインとスープストックをフライパンに流し入れ、鍋肌を洗いつつ煮込み用の鍋に移す。なんだこの淀みなさ。トマト缶、ドライトマト、赤唐辛子など加え煮込む。この時に、併せてカイエンヌペッパーなるものも入れる、とある。カ、カイエンヌ? そんなものは買い得んぬ。何食わぬ顔で先を続けるが、要は知らないわけだ。ググる。よくわからんが、赤唐辛子のことのように思える。はっはーん。一味唐辛子のことだな。スーパーで探したところ「カイエンヌ・パウダー」という正解なのか注意すべき類似品なのか判断つかない小瓶を発見した。その小瓶に詰められた赤い粉末は、いわゆる「チリ・パウダー」にずいぶん近いものだった。チリ・パウダーと一味唐辛子はずいぶん違うだろ。チリ・パウダーなら冷蔵庫にストックがあるので、チリ・パウダーと一味唐辛子をミックスしたもので代用することにした。カイエンヌ・ペッパーの正体は知らないままとなってしまった。あとは2時間ほど煮込むだけ。

 続いて、ちっとも美味しそうに見えないけど、それなりに美味しく簡単な「ドレッシング和えホタテ刺身」に取りかかる。オリーブオイル、種入りマスタード、ケッパー、塩胡椒を混ぜ合わせる。無理やり3枚に切り分けたホタテに回しかける。バスタ。おおお。読み応えなし。すまん。冷蔵庫で待機させる。そのおかげでドレッシングは分離してしまうわけだが、まあ、食べる時にうまく工夫してくれよ、おれ。

 椎茸を焼く。軸を切り落とす。この軸も炒めるため、細かくさいておく。ニンニクの香りを移したオリーブオイルで椎茸(傘)をただ焼く。両面を焼いたら皿に移し、塩胡椒を振る。引き続き椎茸(軸)をみじん切りのニンニクと一緒に炒める。カリカリに炒められたらおしまい。おおお。つまんないぞ。金返せ。とりあえず写真はいつも通り(いや、いつも以上に)美味しくなさそうに撮れてるから、それで勘弁してほしい。

 とりあえず、ホタテと椎茸で始めてしまう短気な教科書クッキンガー。わざわざ断るまでもないことながら自皿自賛(その1)。煮込み終わる頃に合わせてリングイネを茹で上げる。キッチンタイマーを10分にセットし、パスタを湯に投入。そしてタイマーのスイッチを押し忘れる、と。完璧だ。煮込みとパスタを別の皿に盛る。ぴりりと辛くじわりと美味い。自皿自賛(その2)。ワインも進み、Tシャツには赤紫のシミが飛ぶ。秋、万歳。
秋の食卓_b0018597_18452112.jpg

by mono_mono_14 | 2007-09-09 23:59 | 味/buono
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