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『METHENY MEHLDAU』

 麗しき秋の夜長を過ごすべく手を伸ばしてみたはずの話題の(たぶん)ジャズ・アルバムを聴いているのはすでに師走だったりするわけだが、ヒートアイランド現象が進む東京の12月は秋だということにしておこう。『METHENY MEHLDAU』。メシにするどー。ちょっと訛ってるぞ。でも建設現場の湯気が立つような活気は伝わってくるね。って引っ張るな、こんなの。
 いきさつはいくぶん恥ずかしい気がするゆえ割愛するが、ブラッド・メルドーは、とりあえず聴いてみなければいけないアーティスト一覧リストのかなり上の方に置かれていたのだが、何を聴けばいいかまでは掴めていないのが僕の愛くるしいところだ。って自分で言うな、そんなの。
 パット・メセニーは、名前だけはずいぶん昔から知ってはいたものの(何しろビッグネームだ)、実のところ、さほどの関心もなかった。だとしても聴かねばならぬメルドーの相棒とあらばやぶさかでなし。五七五七七。って要らんわ、その小ネタ。

 そんなわけで、この1枚を手にしてみたのだけれど、思った以上にハイ・ブラウと言うのか、何と言うのか。くつろいで聴いているので構わないはずなのだが、どこかしら音に対峙することを求めてきて、聴き耳を立ててしまうというのか。四ッ谷の名門ジャズ喫茶「いーぐる」にいるみたいだ。「いーぐる」の店主が書いたジャズ入門の手頃な新書が僕のジャズの教科書だ。もっとも、僕は「いーぐる」には仕上げの1杯を引っかけに何度か足を運んだことがある程度の、つまりは「いーぐる」を語る資格のないシロートなのだが、それでも「いーぐる」でかかっているジャズを聴いているのは、とても気持ちがいいと思う。・・・あれ、話が矛盾してきたな。・・・うん、つまり、こういうことな気がする。さらりと聴くには必ずしも耳馴染みのよい仕上がりなわけではないけれど、耳を傾けているうちにぐいぐいと引き込まれていく、それだけのチカラに溢れている快演なんだ。・・・と思う。
 肝心のメルドーのピアノはジャズとも括り切れないグルーヴ感だ。メセニーのギターにつけているバッキングもカッコイイし、ソロパートもキレキレだ。9曲目の「Annie's Bittersweet Cake」が僕的ベストチューンだが、これを書いたのはメルドーだった。何だか嬉しい。ボリュームを上げてもう一度。
by mono_mono_14 | 2006-12-01 21:39 | 音/musica
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