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Ivan Lins『Acariocando』

 1か月以上前に注文したイヴァン・リンスの新譜『acariocando』が届いた。遅れたのは発売自体が延期されたからで、ブラジルシゴトのゆえではない(と思う)が、鶴首の思いで待っていたのは事実。触れ込みによれば、サンバにトライしていると言う。楽しみ。さっそくプレーヤーへ。
M01- A Gente Merece Ser Feliz:オープニング、ドラマティックなイントロ、流れ出すイヴァンの声、イヴァンのメロディ、軽やかな伴奏。気持ちいい。確かに“Feliz”な曲。
M02- Se Acontecer:一転して重い。ちょい不良な感じ。この感じはレニーニとの共作だからか。間奏のジャズ・ピアノがかっこいい。重いサビメロの厚みのあるコーラスもしびれる。聴くほどに佳曲かも知れない。
M03- Acariocando:タイトル曲。とても軽やか。なるほど、サンバだ。でも、なんてモダンで、なんてイヴァン節なんだろう! 僕的ベスト・トラックNo.1。ギターの音が心地よい。ソロはマンドリン?
M04- Por Sua Causa:イヴァンが発する声が音として流れていくのが気持ちいい。メロディへのポルトガル語の乗せ込み方が独特。ロマンティックでメロウな曲。1曲踊っていただけませんか? お断りします。ちぇっ。
M05- Prece ao Samba:力強く歌い上げられる愁いを帯びたメロディ。ストリングスのアレンジもどこかメランコリック。Aメロがちょっとボビー・ヘブの「サニー」を彷彿とさせる。
M06- Passarela no Ar:手堅いイヴァン・ポップ。エンディングで繰り返される少しずつ高みに上っていくようなメロディの多彩な演奏が気に入った。
M07- Ela e' a Propria Vida:あまりクロくないファンク。スタカンみたいな音もしたりして。ライブ・レコーディングのような雰囲気がある。ジャジーなピアノがグルーヴィ。
M08- Lar, Doce Lar:慎ましやかながらも甘いメロディ。イントロのギターが明るく軽やかでとてもいい。洗練されたポップソングだけれど、どこかアフリカっぽいニュアンスを残す。
M09- Renata Maria:ポップとジャズの間を行くアップテンポで軽快な曲。ボーカルの抑揚が効いている分、裏で鳴っている楽器の演奏を愛でるのも楽しい。
M10- Deus e' Mais:親しみやすいメロディ、和やかなコーラス。カヴァキーニョとトロンボーンが醸し出すのどかな夏の雰囲気。思わず体が揺れ出す浮き立つリズム。佳曲。僕的ベスト・トラックNo.2。
M11- Antidotos:ララバイのような曲。ストリングスが美しい。パーソネルに「gaita」という楽器がある。調べると「ガリシアのバグパイプ」と出た。ソロを取った楽器がこれっぽい。
M12- Diana do Mar:どこかしらカーニヴァルの風。あるいはアルバムのハイライトを迎えた感じ。ライブな躍動感のある曲で、ライブでもハイライトで繰り出せば、みんなで練り歩けそう。これも少しアフリカが薫る。
M13- Lua Sagrada:透き通った伸びやかなメロディ、コーラス。軽やかなアレンジ。僕的ベスト・トラックNo.3。アルバムのこの辺りの流れはライブ感があって好もしい。
M14- O Tempo me Guardou Voce:赤く暮れゆく渚を思わせるゆったりとした上質ポップ。アルファ波とか出てそう。
 事前に抱いていた「サンバ」のイメージはほとんど裏切られたが、土着サンバをつい思い描いた僕がバカなのであって、イヴァン節になってなければアルバムを出す意義はなく、そして、きちんと聴いてみれば、イヴァン・リンスの解釈したサンバがそこかしこで躍動しているのだった。夏の昼間。エアコンを切って窓を開け放とう。東京のよどんだ風でもいいじゃない。蝉時雨とじんわり汗ばむ夏の暑さを感じながら聴きたい。そんな1枚。ビール開けよう、ビール、ビール!

 謝辞。なお、この新譜情報については、こちらのお世話になりました。記して感謝します。と言うかイヴァン・リンスを聴くようになったきっかけ自体がここにある気がしたりもします。Muito obligadao!
by mono_mono_14 | 2006-08-05 19:32 | 音/musica
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