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マルチナーリア『メニーノ・ド・リオ』

 彼女はベスト・オブ・リオさ──カエターノ・ヴェローゾが言っている。帯には「『サンバのネクスト・レベル』を確信させる名作」との文字が躍る。やっぱ聴くでしょ?
 マルチナーリア『メニーノ・ド・リオ』。海と海岸の街並みと丘と空が、トロピカルなブルーのグラデーションとなっておぼろに見えている。そんな風景を背景にした力強い褐色の肌のポートレート写真がジャケットになっているCDを買ったのは4月末。すでに10日以上が経ってしまった。ようやく聴いた。

 サンバと言えば半裸美女の奔放なステップ。あるいは読売クラブ(古)のサポーター席。長らくこんなイメージだった。ちっとも間違ってはいないのだけれど、やっぱり間違ってると言うべきだ。サンバは楽しく弾けてもいるけれど、もっと穏やかだったり悲しかったりもする音楽だ。人が昨日も今日も明日も生きることの希望と失望がないまぜになった調べだ。サンバって何だかじぃんと悲しいなぁ、と思ったのは、短い惹句とジャケのイラストに惹かれたモナルコの『ポルテーラの誇り』を聴いた時で、その時からサンバは僕の愛聴ジャンルというガラクタ小屋の隅っこに小さな椅子を置くようになったのだ。

 このアルバムで繰り広げられるささやかなサンバの饗宴は、音楽的にはすごくソフィスティケートされていて、サンバに根ざした現代的でインターナショナルな音楽として聴いていいものだと思う。眩しい陽射し、心地よい風、楽しげな街のざわめき、優しい気持ち、ほんの少しのやりきれなさ。そんなあれこれをリオの街角から拾い集め、メロディの波とリズムの渦にそっと放り入れた。そんな音楽。いや、リオなんて、行ったことないどころか、想像もつきにくい街なんだけど、何となく。時に現代的で時に土着的なアレンジに乗せた声のグルーヴ感がすごい。いわゆる美声とは違うブラジルらしい声。枯れているようで艶やかで伸びやかな声。前作がライブ盤だったようなので、それも探してみたい。
by mono_mono_14 | 2006-05-11 00:53 | 音/musica | Comments(0)
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