跳べないヤツのチャント

 某所にアディダスのCFに出てくる「chi non salta...」のチャント(応援歌)の話題があった。とてもおもしろかった。これは、それを読んで触発されてあれこれ調べた(=ググッただけ)結果報告である。つまるところ、風変わりなエントリです。

 グーグル様のおかげで臨場感あるmp3ファイルを発見したので掲出。こちら
 「こちら」をクリックして「audio mp3」もクリックしてしまったドッピエッタな方のために遠浅な解説を加えてみる。ファイルの提供元(と言うか僕が発掘した先)はイタリアの名門サッカークラブのひとつであるジェノアのファンサイトで、スタジアムで収録されたっぽいこのチャントは、ジェノヴァ・デルビー(il derby della lanterna:灯台ダービー)のものと思われる。侮蔑されている「blucerchiato」はライバルのサンプドリアの愛称(なんだそう。これもグーグル様のおかげで知った。青地に白・赤・黒の帯がぐるっと1周するデザインのユニフォームだからだと思う)。聴きどころは、最初は「Genoa! Genoa!」と自チーム名を連呼していたところに、おそらくクルヴァ(ゴール裏)を仕切っているリーダーが(たぶんハンドマイクを使って)次の歌の指示を出しているところ。「Chi non salta...」とひとりの声が介入するやいなや、何千というティフォージがすかさず声を合わせてリードされたチャントを合唱する。その移行の美しさ、そして主菜と言うべきチャントの迫力が、このファイルの愛でるべきポイントである。ってなんだこの解説。
 グーグル様のおかげで、イタリアで広く共有されている「chi non salta...」の音声ファイルを何種類も発見できるのだけれど、僕がアプローチした中ではこれが飛び抜けてカッコよかった。

 ほんとうは、「non saltare」がどんな感じで侮蔑感を帯びるのかを調べなければならないのだけれど、全然たどり着けなかった。実は、デズモンド・モリスの『サッカー人間学』も引っ張り出して「部族の歌」のページも繰ってみたのだけれど、「跳べないヤツ」を揶揄する表現は見当たらなかったのだった。あの本のフィールドがほぼイングランドだからかも知れない。イタリアにおける「chi non salta...」と同じく、イングランドでも多くのチームで同じ節回しが使われている様子は確認できた。

 先に例に引いたジェノアは、カズが1シーズンを送ったチームで、カズがリーグ戦で記録した唯一の得点がこのサンプドリアを相手にした灯台ダービーなのだった。確か『Number』で読んだのだけど、何年も何年も後にカズがジェノアに行った時に、空港でピックアップしたスーツケースには「ダービーでのゴール、ありがとう」とのメモが貼ってあったのだとか(この話はカズのエッセイ集『おはぎ』にも載っている)。日本がこの域に達するにはもう少し時間がかかると思う。僕はこの話をすごくいいなあと思いながら読んだのだ。
[PR]
by mono_mono_14 | 2006-03-05 05:12 | 蹴/calcio | Comments(4)
Commented by kaioko at 2006-03-05 22:56
聞いてみました!すごい迫力ですね~。音だけでも沸点に達した会場の興奮を感じますね。
誰かが言い出して、すぐに伝染する感じ、大きなうねりみたいなもの、ロックのコンサートのアンコールの時みたいです。
でも、「跳べないヤツ」って本当どんな意味合いがあるんでしょうね?
Commented by mono_mono_14 at 2006-03-06 11:43
き、聞いてみましたか、も、猛者ですね(笑)。いえ、半分はkaiokoさん宛に書いたようなものなので(疑)、聞いてもらえてよかったです(真)。
確かにロック・コンサートのシング・アロングに近いものがあるかも知れませんね。さすがロック聴き!
「跳べない」とヤジる(ヤジられる)感じはなかなかピンと来ないですよね。もう少しピンと来たいです。
「某所」がどこかはピンと来たかも知れませんが(笑)、それはそれってことでお収めください。
Commented at 2006-03-08 20:15
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by mono_mono_14 at 2006-03-08 22:31
>>鍵コメさま。
はじめまして。コメントありがとうございます! 実は、鍵コメさんちは、ずーいぶん前から楽しく拝見しておりました。改めてご挨拶に伺いますね!

僕が言うのもヘンですが、このファイルはカッコイイと思います(笑)。でも由来については僕もさっぱりお手上げでして(恥)。どちらかと言えば、鍵コメさんちにお集まりの伊語名人の皆さまに期待してしまいます(甘)。
ググッてる間に発見したのですが、「Chi non salta bianco e'」という映画があるみたいでした。もとは「White Men Can't Jump」というアメリカ映画らしく、もしかすると「ジャンプができない」という揶揄はずいぶんと広い文化的背景を持っているのかも知れません。で、これ以上はやはり僕にはお手上げなのです(再恥)。
<< 『東京エコシティ』展 ボスニア・ヘルツェゴビナ戦 >>