ポール・ウェラー日本独自企画盤を聴く

 「来日記念」というナゾの理由で「日本独自企画盤」という1枚が出たりするのは、日本のオーディエンスとしてはホメられてるのかナメられてるのかイマイチわからない。ま、買ってしまうわけですが。Paul Weller『COME ON/LET'S GO -JAPAN ONLY EDITON』。なお、「EDITON」はママ。何度見直してもEDITON。心なしか愛が足りない1枚であることのメタファーなのだ(嘘)。なお、この1枚が「来日記念」盤かどうかはわからないけど、事実上、そうなってしまった感ありあり。
 こういう企画の王道として、シングルのC/W曲やアルバム収録曲のリミックスやライブ音源やデモ・テイクなどが収められている。このお気に入りのカットソー、つい色違いで揃えちゃいました♪ みたいな感じがどこかしら漂うことになる。ま、買ってしまうわけですが。ちなみに、服について言えばお気に入りの同型を色違いで持つのは悪くないことだと思う、サイフとクローゼットに余裕があればね。
 それでは、以下、必死で全曲レビュー。何とかリミックスとかがくっついていて無闇にタイトルが長いので割愛。気になる人はこちらを参照。



【01】 ギターがギュイーンといったらロックだろう、というのは渋谷陽一の端的なロックの定義だが、この曲のギターはリミックスながらずいぶんギュイーンといっている。そして強烈な低音。ベースだけでなくキーボードも貢献しているかも知れない。
【02】 ポジティブなバイブ。シンプルな演奏。年頃のお嬢さんにも安心して勧められる健全さ(意味不明)。ちょっとワイルドウッド〜ライブ・ウッドの頃を思い出させる。
【03】 ジャジーだけれどジャズではない感じがする。ジャンルに意味づけがあるわけではないけれど。末期ジャム〜盛期スタカンのような味つけ。
【04】 インスト。サイケと言うか、どこかしらツェッペリンのモビィ・ディックとかクイーンのブライトン・ロックを感じたのは気のせいでしょうか。たぶん、気のせいでしょう。嫌いじゃない。そのオルタ・テイクというかリミックスが【09】。昔は、こういう悪酔いしそうなリミックスというのは好きじゃなかったのだけれど、最近、音楽的にいろんな工夫(?)が盛り込まれているのを興味深く聴けるようになってきた。リミックスも案外おもしろい。相変わらずクラブ・カルチャーには縁遠いままなのだけれど。
【05】 かつてよく組んでいたブレンダン・リンチによるリミックス。曲の奥まった方を疾走するドライブ感のあるロックンロール。それを取り巻くノイジーなギターワークとアーシーなハモニカ。原曲が勢いのある佳曲であることを感じることができる。
【06】 アコギ1本の弾き語りのような「カモン/レッツ・ゴー」のデモ・テイクは、ジャムの名曲「ザッツ・エンターテイメント」のようだ。『アズ・イズ・ナウ』は、いつになくジャムやスタカンに近しい音づくりになっていたが、それを裏づけるかのような1曲。まるでハイティーンのようにギターをかき鳴らしているのは、五十路も近づきつつあるウェラーなわけで、その無意味な若さがどえらくしぶい。
【07】 ローマでのライブだそう。「カモン、ローマ!」ってなんだそのMC。オルガンやキーボードが前面に押し出されたアレンジは、スタカンっぽいと言えなくもないが、それよりも何よりも音の感じが隠し録りっぽいところがこの曲の特徴だと思う。ボーカルの鳴り方は風呂場のようだ。さては会場はカラカラ浴場だな(違)。
【08】 こちらは故郷でのライブだという「イントゥ・トゥモロウ」。ああ、この曲が収録されている1枚をCDショップの棚で見つけた日は、ちょっと総毛立つような興奮だったなー。15年くらい前かしら。スタカン以後、どうなってしまったのかさっぱりわからず、消えてしまったのかと思っていた時期、ポール・ウェラー・ムーブメントというソロだかバンドだかユニットだかわからないシロモノが出ていたんだよなー。しみじみ。この演奏はライブウッドと大差ない感じだけど、ファンキーでグルーヴィ。
【10】 教会版みたいなリミックス。聖堂のようなエコー感と、ストリングスが前面に出た音づくりなので。ウェラーのストリングスのアレンジ(編曲)は、今ひとつ必然性を感じないことが多い。内省的な感じ、あるいは翳りっぽい厚みを求めているように感じられるけれど・・・という感じ。本人的に表現の幅を広げていること自体は尊重しますが。そのうち好ましく聴けるようになったりするのかな。

 もう1枚、5曲入りDVD(シングルのビデオ・クリップ)がついているのだけれど、こちらのインプレッションは割愛。ひとことだけ。無精ひげのウェラーがどえらくかっこいい。

 あろうことか東京公演の追加公演が決まってしまった。しかも土曜日。行きやすい。サイフのヒモが職務怠慢だったのではないかとかいった非難が後日になって各方面より沸いて来そうな予感だ。
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by mono_mono_14 | 2006-02-27 23:59 | 音/musica | Comments(0)
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