誰も寝てはならんかった

"...All'alba vincero'! vincero'!! vincero'!!!" ...Si'!!!!

 中学や高校の音楽の時間にどういう「名曲」の数々を聴いていたんだろうなあ、と、ときどき思う。たぶん取り立てて珍しいことではないと思うけれど、姑息小心人畜無害なロック小僧だった若かりし僕は、クラシック音楽にはあまり関心が持てずにいて、どんなのを聴いたのか、さっぱり覚えていないのだ。そんな僕も、即時撤退責任転嫁な社会人になるうちに、いつの間にやらほんの多少とは言えオペラやクラシックも聴きかじるようになったりしていたわけで、すると、ほんとなら雷に打たれるような衝撃な出会いになってもよかったような名曲も、知らずに音楽室で聴かせてもらっていたんじゃないだろうか、と思ったりするのだった。ヴェルディやプッチーニも聴いていたんだろうか。
 オーチャードホールで勅使河原三郎が演出した良くも悪くも話題を呼んだ「トゥーランドット」を観たのは、どうやら1999年の春だったらしい。3大テノールが(と言うかパヴァロッティが)必ず歌ったドラマティックなアリア「誰も寝てはならぬ」を楽しみにしていたけれど、期待ほどではなかったような記憶がうっすらとある。まあ、それはどうでもいいです。今年、フィレンツェ歌劇場がその「トゥーランドット」を引っ提げて来日するが、そんなチケットが予算的にも確率的にも取れるはずがないのであった(試みもしていないけど)。ああ、それもどうでもいいです。
 「夜明けに私が勝つのだ」と高らかに歌い上げるそのアリアを、パヴァロッティはトリノ五輪の開会式でも歌った。イタリア語で「vincero'」、英語に直訳すれば「I'll win」と宣言する歌は、戦いの幕開けにはなかなかにふさわしい。そして、今日の夜明け。アスキーアートみたいな笑顔の大和撫子が、頂点に上り詰める華麗な4分間を、そのトゥーランドットの旋律に乗せて世界に披露したのだった。「vincero'」に合わせて繰り出されるスピン。フィニッシュのポーズと100点満点の笑顔。素晴らしすぎた。誰も寝てはならんかった。僕は寝てたけど(そんなオチか)。

 メダルなんてどうでもいいじゃないのさと思いつつ眺めていたトリノ五輪だけど、やっぱりメダルってものすごい。

*こういう時事にかこつけたエントリは控えようと心がけているんだけど、でも今日はいいだろ、と思うことにしました。
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by mono_mono_14 | 2006-02-24 22:45 | 雑/quotidiana | Comments(4)
Commented by bijou at 2006-02-25 10:45 x
秋のローマの来日公演には絶対行きたいですぅ。エコノミーでもいいから・・・
Commented by ciachi at 2006-02-25 22:43
昨日は会うイタリア人みんなが、素晴らしかったと絶賛してました。
"vincero~~~"、イタリア人大~好きですよ、この曲。
Commented by mono_mono_14 at 2006-02-26 13:43
>>bijouさん
そうそう、ローマも来日ですね〜。チケット、厳しいんでしょうね、きっと。。。
Commented by mono_mono_14 at 2006-02-26 14:03
>>ciachiさん
いや〜それは嬉しいお話です! えへへ素晴らしかったでしょー、と僕も言いたい(笑)。イタリア人的にはシズカ・アラカワは選曲もよかった、って感じでしょうか。いい曲ですもんね。
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