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『VS.』と『Number PLUS』

 電車の中吊り広告で『VS.』という雑誌が「ドーハの悲劇」特集を組んでいるのを知った。指折り数えるふうに遡って、あれから12年の月日が流れたことを思い起こす。もちろんテレビ放送に釘付けだったその日の僕は「なんだよ、それー」と叫んでふて寝に入ったのだった。翌日は、確か、どこかしら風邪気味のようなコンディションになっていたんだったと思う。この特集は、ちょっと掘り下げが浅い感もあるのだけれど、あの頃を懐かしく思い出せる人には興味深い企画だと思う。都並の足首にはドーハの時に打ち込まれた釘が今もまだ入っていて、しかもそれがくるぶしの下あたりに浮かび上がっているのだと言う。「ボールが当たると超痛いんだ」って想像するだけで僕はイヤだ。ドーハの頃、日本のサッカーはピッチの中も外も青くナイーブで、でもフツフツとしていた気がする。過去にこんなふうに思いを馳せたらオシマイかな?

 もう1冊、カナリア・イエローに身を包んだアドリアーノが表紙を飾っている「南米蹴球記。」と銘打たれた『Number PLUS』は、ブラジル、アルゼンチン、ウルグアイの特集だけれど、アドリアーノの特集が出色。リオの超貧困&危険地区・ファヴェーラの出身だったのね。ファヴェーラと言えば、僕にとっては、そこで生きるシンドさについてセウ・ジョルジが熱く語ってくれたのが記憶に新しいが、「楽しいのはサッカーをすること。哀しいのは、毎日、撃ち合いがあること……」という12歳の子どものコメントが紹介されている本号の特集も、そのシンドさをじゅうぶんに伝えていると思う。

 ドーハの悲劇を懐かしく思い出したりしていればいいなんて、日本は罰当たりなまでに平穏だ。
by mono_mono_14 | 2005-11-17 17:20 | 蹴/calcio
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