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『ブラウン展』@AXIS GALLERY

b0018597_19412850.jpg 休日出社の前に慌ただしく足を伸ばして『ブラウン展──形を超えたデザイン』を覗く。ブラウンというメーカーの50年の歴史をデザイン面から眺めた展示。思ったより濃い展示で、僕の空き時間は30分くらいしかなかったんだけど、ちょっと足りなかった。来客があったので会社に到着する時間を遅らせるわけにもいかず。1時間の滞在を見込んで早めに家を出なければいけなかったな、残念。



 ブラウンの製品は、かなり多くの家庭に潜んでいると思う。お父さんのシェーバーとか、電卓とか、目覚まし時計とか。うちにもあった。生活に密着した身近な家電を幅広く網羅している。50年分のデザイン的変遷を眺めても、あんまり変遷を感じさせない。そのことに驚く。もちろん、日々、さまざまな改良が重ねられているわけで、丁寧に見れば変遷はあるのだけれど、昔の製品も古くなく、最近の製品もトンガッてない。最初の頃から洗練されていて普遍的なデザインで、今もその流れに身を置いているのだった。例えば、アレッシィなんかとはデザインに対するポリシーがまったく違うのだ。それは、どちらがよいと言うわけではない。僕もアレッシィにもブラウンにも好きなデザインもあればさほどでもないデザインもある。しかし、ブラウンに寄せた深澤直人のコメントは、心にちょっと留めておいてもいいものだと思う。
「(前略)人の生活や、環境を考えれば、自ずと収束していくかたちである。そのぶれない必然の輪郭は、永遠にプロダクトデザインの手本となるべき適正な解答なのである。」(展示より書き写し)
 厳密でシンプルなプロポーションの法則からデザインの多くは生まれているようだった。製品のディテールを大写しにした写真があったのだけれど、それがとっても美しかった。
 ブラウンのデザインについて、50年前のデザイナー(ディーター・ラムス)と現在のデザイナー(ピーター・シュナイダー)によるそれぞれの原則的な考え方も披露されていた。
■ディーター・ラムス:デザインの10原則
・良いデザインは、革新的である(Good design is innovative)
・良いデザインは、製品を有用にする(Good design makes a product useful)
・良いデザインは、美的である(Good design is aesthetic)
・良いデザインは、製品をわかりやすくする(Good design makes a product understandable)
・良い製品は、押し付けがましくない(Good design is unobstrusive)
・良いデザインは、誠実である(Good design is honest)
・良いデザインは、恒久的である(Good design has longevity)
・良いデザインは、あらゆる細部まで一貫している(Good design is consequent down to the detail)
・良いデザインは、環境に優しい(Good design is environmentally friendly)
・良いデザインは、できるだけ少なく(Good design is as little as possible)

■ピーター・シュナイダー:ブラウン・デザインの今日
1.革新性 Innovation
2.機能性 Functionality
3.識別性 Distinctiveness
4.細部にわたる品質 Quality in detail
5.視覚的な明快さ Visual clarity
6.約束を守る誠実さ Honesty in the promises made
7.審美性 Aesthetic qualities
(いずれも展示より書き写し)
 デザインにとどまらない含蓄がある。暮らしに密接に関係のあるプロダクツをデザインの対象としているからかも知れないが、単なるプロダクト・デザインではなく、ほとんど「暮らし方」とか「生き方」とかの指南と読んでも成立しそうじゃないか。何かの「質」や「格」や「個性」がどういうところに宿るのか、ということをじんわりと考えさせられる。

 会場を構成したのは、「FILING」展を手がけた織咲誠。かっこいい展示に仕上がっていた。フロアに製品の拡大図などがプリントしてあったのだが、それがすごくいい雰囲気を醸していた。
by mono_mono_14 | 2005-10-15 19:50 | 文/cultura | Comments(0)
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