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しばらく飽きそうにない『飽きる力』

 これは、ものすごいことが書かれている本のように思えるのだけれど、でも、引き込まれて一読したものの、たぶん、ほとんど「理解」できていないように感じられる。でも、ものすごい、革命的なことが述べられているんじゃないか、という、手触りというか、ぞわぞわする感じがある。河本英夫『飽きる力』。線を引っ張りながら読みたいところを、敢えて線を引かずに通して読んだ。再読以降の機会には、たぶん、線を引いたりメモを書き込んだりすると思う。あきらめるのでも、投げ出すのでも、怠けるのでも、嫌気がさすのでも、切り替えるのでも、引き返すのでもない、「飽きる」。なんなんだ、これは。困惑の中に、わくわくするような、ざわめくような何か、灯台のあかりのような何かが、ほのかに見えて、それは僕を静かに強く興奮させる。僕にとって、2010年の最大ヒットの1冊になる気がする。感想めいたことは、まだ、とても書こうと思わない(思えない)のだけれど、意図的に努めて「飽きる」というのは、本書の「飽きる」の趣旨とは必ずしも一致していないと思うけれど、でも、「飽きる」ことに意欲的(ヘンだね)な方がよさそうだ、という手がかりを得たことだけ、つづっておきます。
 
 著者の『オートポイエーシス』という本を読んだことがある。背伸びしていたのだと思います。10年以上前のことだ。それもほとんど理解できなかったと思う。いま、また読み返してみたとしても、たぶん、やっぱりあんまり理解できないかも知れない。でも、この『飽きる力』と併せてなら、違う読み方ができるかも知れない。そんな気にもなる。この『飽きる力』を手に取ったのが、ちょっと仕事に飽きて、気分転換に立ち寄った近所の本屋の店頭だった、というのは、もしかすると、飽きる力のなせるわざだったのかも知れないね(無理アリ)。
by mono_mono_14 | 2010-10-21 14:00 | 本/libro
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