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『エレクトリックな頭脳、アコースティックな心』

Le tante varie di musica locale costruiscono un mondo. Quelle musiche sono diverse ed allo stesso tempo sono simili. Un lavoro di un brasiliano Silverio Pessoa ha un carattere simile ad un lavoro di un napoletano Daniele Sepe.

 シルベリオ・ペソーア(Silverio Pessoa)の『エレクトリックな頭脳、アコースティックな心(Cabeca Eletrica, Coracao Acustico)』をいくたびか聴いてみる。21世紀民謡。コーコとかフォホーとかフレーボとか、僕は初めてその名を聞くブラジルのトラディショナルな音楽が、表敬されつつ今日的に再解釈されて演奏されている。例えば、M02「Coco de Chegada」のたおやかで重層的なリズムと詩を吟じているようなボイス。M04「Sambada e Massape」、M05「Disposto a Tudo」はアコーディオンや多弦ギター、トライアングルなどの素朴な調べやお人好しなほどに伸びやかな歌声が印象的。M06「Na Boleia da Toyota (Cinema Nos Cafundo)」は、『セー』でカエターノが披露したようなロックチューン。うねるビートが疾走する。軽快なドラムロールからホーンが炸裂するM08「Sabore de Frevo」は、イヴェッチ・サンガロなどとも相通じるカルナバルの薫りだ。
 これはブラジルの音楽なのだけれど、例えば、南イタリアの土着音楽の再評価とか、バルセロナ・ミクスチャーとか、そういう音楽と共通するところがある。同じヴァイブを感じる。シルベリオ・ペソーアのこのアルバムと、例えばダニエレ・セーペの仕事なんかは、とても近しい。ペソーアのブラジル北東部へと送るまなざしとセーペの南イタリアへと注ぐ愛情は、とても近しい音楽世界を紡ぎ出している。地域の固有性を手がかりとする音楽が世界各地で展開され、それがどこかしら通底しているのは、なんだかおもしろいことだなあと思う。海、とか何かの鍵かも知れないな。などと思ったのは、アルバムのエンディング曲(M14)に、眩く輝く青海原とそこを渡り来る風を感じたからだ。もっとも、「Nas Terras da Gente(みんなの大地で)」という海っぽくないタイトルがついてるのだけれどね。
by mono_mono_14 | 2007-05-18 13:51 | 音/musica
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