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チェーザレ・ピッコ@ブルーノート東京

Mi sono visto il live di Cesare Picco al Blue Note Tokyo. C'era tanta gente giapponese nel club aspettando il suo primo live in Giappone come me. Con un bassista tenerifese (ed un po' di computer) Cesare ha suonato (o dovrei dire "creato") la bella musica col suo pianoforte. Stasera circa un mille giapponesi hanno ascoltato una grande "Seguimi". Si', ti seguiamo.

 頑張って(?)足を運んでみたチェーザレ・ピッコの一夜限りの初来日公演@ブルーノート東京。セカンドステージ贔屓の僕ではあるけれど、日曜ともなれば話は別で、18時半開演のファーストステージ。思いがけず(は失礼ながら)かなりの盛況でびっくり。みんな、よく知ってるのね。僕は来日公演もアーティスト自体もたまたま知っただけで、しかもイタリア人でなければここまで反応していないだろうと思う(イタリア人だからといってここまで反応するのもいかがなものかとも思う)。しかも開場頃に受付をしたにも関わらず、整理番号が70番台だった。というわけで、それなりの末席で開演を待つ。

 定刻に開演。ピッコとダブルベース奏者の2人。加えてドラムスやノイズのプログラミング。プログラミングというライブパフォーマンスに慣れていない僕は軽く興ざめする。ドラマーに叩かせちゃいけないのか、プログラミングによるライブはCDの再生に近づいて行くんじゃないか、などと思ってしまうのだが、たぶん、必ずしもそういうことでもないのだろう。もちろん、プログラムを逸脱していくような演奏には不向きかも知れない(そういうのがジャズ・ライブの醍醐味の一部をなすような気もするが)。しかし、プログラミングはプログラミングという楽器なのだ。途中から、ああ、これは興に乗ったドラマーが叩き出したりしてはいけないビート感であり、テクスチュアなんだな、と感じるようになった。収穫。
 それにしてもチェーザレのピアノは思いがけず熱い。CDでは、どちらかと言えば端正でクールな演奏だったけれど、チェーザレはしょっちゅう中腰になりながら鍵盤を叩く。時に荒々しく、時に滑らかに。ピアノで中腰はしんどくないのかと思うが、チェーザレはしょっちゅう中腰になっている。CDよりも断然素晴らしく音が迸り出ている。やっぱりライブはいい。そんな単純な真理を改めて実感する。

 セットリストを再現できる人を尊敬してしまう僕のエントリからセットリストは出てこない。『MY ROOM groovin' piano』(チェーザレは「groovin' piano」と必ず言っていたので、敬意を表して表記)からの演奏がもちろん多かったが、予習不足の僕に確認できたのは5曲であった。『Christmas Tunes』から「Let It Snow」を、ジャズ・スタンダードから2曲ほど。セットリストがどこかに掲出されることを読者諸賢とともに祈っている次第。
 代わりに僕が提供できる情報は、チェーザレ本人による日記のURL程度か。誰にでも見つけられる類の情報じゃないのさ。すまん。もちろんイタリア語。東京で感じたあれこれが綴られている。イタリア語系の方(どんなだ)、よろしければこちらから「IL DIARIO DI CESARE DAL GIAPPONE」と題されたシリーズを。ここにブルーノートのことも書かれたらとても嬉しい。
 
 ライブは、予想通り「Seguimi」で終わった。入魂の演奏を聴くうちに、この曲がチック・コリアの「スペイン」に重なって行った。似ているということではない。僕のような素人が語るのは笑止千万、臍釜沸茶(こんな四字熟語はない(と思う(があっても素敵だ(読みは「へそがまわかちゃ」だな))))ではあるが、チック・コリアのような膨大で幅広いキャリアの持ち主にとっても、おそらく「スペイン」はひとつの画期をなした1曲であり、オーディエンスもそう思っている1曲なのではないか。そして、チェーザレ・ピッコにとっても、この「Seguimi」は、そういう曲になるんじゃないか、という感覚だ。日本のライブハウスに初めて溶け出て行く「Seguimi」、その歴史的瞬間に、僕は確かにいたのだ。って無駄に大げさな締め。

 当日の飛び込みでナプレの席を確保する。おお。信じられない。そんな日もあるのか。野菜の前菜盛り合わせとか、貝あれこれの白ワインソテーとか、マルゲリータとか、ラグーのペンネとか。ああ。この上ない至福感。
by mono_mono_14 | 2006-12-03 23:59 | 音/musica
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