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ピッコラ・オルケストラ・アヴィオン・トラヴェル

Forse circa cinque anni fa che ho comprato un cd di "Piccola Orchestra Avion Travel" intitolato "Selezione 1990-2000". L'ho ascoltato dopo alucuni anni di intervallo e ho potuto sentire una brezza confortevole. Voglio provare un loro nuovo disco.

 「Piccola Orchestra Avion Travel」という小楽団を知ったのは、ジョヴァノッティを知ったのと同じ頃、教育テレビのイタリア語会話の中でだった。とは言え、見た瞬間に激しく惹き込まれたとかいうのではなく、ふぅぅん、という感じだったのだけれど、その流浪感と寂寥感と孤高感に彩られたビジュアルと音楽は、何となく引っかかるものではあった。そして、今となっては記憶も定かではないのだけれど、しばらく経ったある日、たまたまCDショップの棚でベスト盤っぽい1枚を発見し、何かの縁だということにしたんだったと思う。その時の1枚しか手元にはない。『Selezione 1990-2000』。ベスト盤の類だと思う。久しぶりに引っ張り出して聴いてみた。

 1曲目に収録されている「sentimento」でサンレモを勝ったらしい。愁いや重さをはらんだ音色だけれど、よく聴けばずいぶんと自由を感じるメロディ。続く「aria di te」が佳曲、と言うか僕の好み。抑えめだけど小気味よいアレンジ。ギターワークがシブい。少しジャジーで、少しブラジリー(なんていう語はないと思うが察せられたい)。「dormi e sogna」のような曲が、このグループの得意とするところだと思う。翳りと奥行きのあるアレンジ。前衛的なところもあり、ロマンティックなところもある。軽やかな詩の朗読のような「abbassando」には、欧州大陸の知性が薫る。こういう曲をフランスっぽいと思ってしまうのだが、なぜだろう。続く「la notte ha cambiato la citta'」も知的だ。ブライアン・フェリーっぽい知性に彩られている。タイトル通り夜が似合うロマンティックな曲。このタイトル自体がかっこいいと思う。同じ夜でも、これを「king of the night time world」などとやってしまうと、知的な薫りはどこへやら、めっきりキッスになってしまう。いや、そちらも好きだけれど。
 6曲目の「cuore grammatico」は、イタリアの“南方性”が前面に出ている楽しい曲。シャイな陽気さが何とも言えず気持ちいい。伸びやかなストリングスが美しい「cirano 2」、アップテンポに言葉を重ねていく「primo amore」。この辺りも聴き応えがある。打楽器(とも言えないかも知れない、何かを叩く音)が基調をなす「belle cavigile」は実験的なようでもあり、古くからある演奏のようでもある。不思議な曲。何かを打ち明けるかのように歌われる「la chiave inglese」。題のせいもあって、ふとスティングの「イングリッシュマン・イン・ニューヨーク」を思い出した。いや、決して似ている曲というわけではないのだけれど。と言うか似ていないのだが。優しいピアノの調べに導かれて始まる「comico」は、モダン・ダンスなんかと相性がよさそうに思う。
 「la famiglia」もジャジーでブラジリーだ(同前)。僕の好みだ。ギターとサックスの絡みにゲッツ=ジルベルトを思い出した。続く「l'atlante」はもの悲しいアコーディオンが印象的。どこかしら演歌的でもある。タンゴ調のアレンジで迫ってくる「la conversazione」は、波のように軽やかにうねるサビメロで少し印象を変える。このサビのパートは言葉のリズムも含めておもしろい。「la via delle indie」は、僕の耳には馴染み深いラテン・パーカッションがあしらわれている。ラテン・ジャズという感じの1曲。ラストを飾る「l'astronauta」は、鼓笛隊を想起させる小気味よいドラムスに、時にノイジーなギターやブラスが重なってくる厚みのあるアレンジ。

 いや、久しぶりに聴いたけど、いいな、これ。へなちょこレビューを書こうと思って聴くといろんな発見があって嬉しい。こんなのまだ売ってんのかな(つか、活動は続いてるんだろうか)などと思い、少し検索してみたところ、2003年にアルバムが出ているようだった。ジャケの雰囲気もよい。探そっと。

〜僕の手元にある風変わりなイタリアの音楽たち その2〜

by mono_mono_14 | 2006-11-22 23:03 | 音/musica
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