人気ブログランキング | 話題のタグを見る

ふるさとの風景

 出張で訪れた宮崎県は未踏の地。向かったのは日向市。デザイン的には世界に出して恥ずかしくない高架駅舎が完成間近だ。遠からぬうちに建築雑誌の表紙を飾るだろうと思う。それらを観に行ったのだが、でも、それはシゴトのことなので、ここでは触れない。シゴトから少し脱線した辺りのことを短く記しておこうと思う。

 僕にも生まれた場所はあるし、幼少の頃ももちろんあったわけだけれど、今ひとつふるさと感を持てずにいる。郷愁だとか懐旧だとか。特定の場所としても、原風景としても。

ふるさとの風景_b0018597_21195497.jpg 日向で何とも言えず懐かしい風景に出会った。繰り返すが宮崎県に足を踏み入れたのは初めてなので、何もかもが初めてのはずなのだし、僕がこんな風景のなかで暮らしていたかと思い返すとずいぶん違う感じがするのに、ものすごく懐かしく心に染み入るものがある。

 あまりに何てことない風景で拍子抜けかも知れない。東京が当たり前な日々だとなかなか目にしない風景なのだ。緩やかに川が流れ、ときおり魚鱗が翻る。緑に包まれた穏やかな山並みが取り囲む。背の低い家並みが連なり、大きな空が広がっている。たぶん、こういう風景が多くの人の心に意識せずとも染み込んでいて、知らぬうちに「ふるさと」な感じを醸し出すんじゃないか。

 この街は僕のふるさとでも何でもないから、この風景は僕に「ふるさと」な感じをもたらしたわけではない。ただ、ああ、こういう風景がふるさとの風景と呼ばれる風景なんだろうなという、確信にも近い感興が呼び起こされただけだ。
 僕が小学生の頃に道草を重ねた川や雑木林はどうなっているのだろう。川がないということはないだろうけど、雑木林はもうないかも知れないな。あまりに何てことない風景にも小さな魂が宿っているのだろう。そう考えれば風景をないがしろにすることはある種の殺生だ。無闇なことではいけない。・・・なんだか社説チックなPCなマトメでいただけないが、でもそんな感じだ。

ふるさとの風景_b0018597_21203051.jpg
ふるさとの風景_b0018597_2120415.jpg


 おまけ。
 日向市内某所で見つけたスギ(いや、スギの名産地なので。マツだったらすまん&お恥ずかしい。と言うか、マツでないとこんなふうになりませんかね、やっぱり)。こんな剪定、見たことない。モダンなファニチャーと言ってもよさそうなほど。もしかして、トピアリーなのか。
ふるさとの風景_b0018597_19404483.jpg

by mono_mono_14 | 2006-11-15 23:59 | 街/citta
<< 『住宅の射程』 出張。 >>