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東京銀行協会ビル

 日本橋と日本橋川と首都高の話を書かないといけないのだけれど後回しにして、軽いジャブ(?)からメモしておこうと思う。
 東京銀行協会ビル。お濠越しに眺められる絶好のロケーションにある。写真からはわかりにくいかも知れないが、ビルの下の方だけ、なんだかメルヘンチックになっている。
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 もともと東京銀行集会所という大正初期に建てられたブリティッシュなビルだった。しかし、バブル期には当然それなりにくたびれていたわけで、高層ビルに建て替えられることにあいなった。その時に、詳しいいきさつは不勉強ながら、見た目だけ残されることになった。手前に背の低い古いビルが建っていて、背後に高層ビルが建っているわけではなく、高層ビルの足下だけが昔のビルのカッコウをしているのだ。言ってみればコスプレみたいなものだ。
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 この作戦や出来上がった姿には賛否両論がある。ワインのラベルを記念に取っておくんじゃあるまいし、建物の上っ面だけを残して何の意味があるのか。何もかもご破算にしてしまうのではなく、少なくとも外観だけは貴重な歴史を継承しているのだから、じゅうぶんに意義深い。まるでテーマパークだ。通りを歩く人に楽しみを与えている。などなど。

 私見。(1)本来、建物を残すというなら、あの手この手を講じて構造体ごと建物として使うべきで、外観だけ残しておくなんて書き割りの一歩手前の醜態であって、とても「歴史的建造物を保全した」とは言えない(たぶん、誰も言わないだろう)。(2)とは言え、僕は、通りを歩く目線の建物がディテールとしておもしろく雰囲気がよいことは大事だと思っているので、クラシカルな装いで目を惹く景色となっていることは評価してよいと思う。(3)しかし僕のこのリクエストは、単に目につく部分を丁寧にデザインしてほしいという意味に過ぎないので、低層部のデザイン的解答として、かつてのファサードを引き写しておくというのが最善だったかは疑問が残る。つまり、もっと魅力的につくることもできたはずだろう。(4)それでも、歴史に縛られながら(と言うのはつまり歴史に敬意を表しながら)未来を構築するというスタンスは、これからますます大事になるだろうと思うので、たぶんやましいスケベ心もあったのだろうけれど、歴史に対するリスペクトのストラグルとして、好意的に受け止めてあげるべきだと思う。ヘタなファサードがつくよりはマシだったのだと思う。(5)と言うか、このビルについて言えば、端的には、たぶん高層ビルのデザインがパッとしないのが一番問題なんじゃないかと思う。(6)読みにくいのを苦労して読んだわりには、僕が何を言っているのかがよくわからないのも問題なんじゃないかと思う。猛省。

 ヨーロッパの中世の街並み(と言うか建物そのもの)が現役で、インテリアはいくらでもモダンに変身し続けるという状況と、このビルとはどこが違うのか(あるいは同じなのか)ということは、ぼんやりと思いを馳せてもいいことなのだろう。
by mono_mono_14 | 2006-09-06 16:11 | 街/citta
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