富山和子『環境問題とは何か』

 環境問題とは何か。──ゴミが増える。二酸化炭素が増える。ダイオキシン濃度が上がる。産業廃棄物が増える。あるいは不法投棄。川や海が汚れる。湖の魚がブラックバスばかりになる。野菜や果物には農薬が染み込んでいる。病んだ食肉が蔓延している。水道水がカルキ臭い── こういうこと? 違うとは言えないかも知れない。だけれども、この本が一番強く訴えている「環境問題」とは、林業の崩壊だ。富山和子『環境問題とは何か』、読了。
 山に木を植えて、丁寧に管理する、手入れする。こういうシゴトを日本は放棄してきており、そのことが取り返しのつかない「環境問題」だ、と、著者は言う。日本は農業も放棄してきており、そのことは絶対に間違っていると、自分では農民に転じる気概はないままに僕は思っているのだが、林業にはまったく気づいていなかった。もちろん、林業従事者がものすごく減っていることぐらいは知っていたけれど、それがどれくらい深刻な問題として跳ね返ってくるのかということに、思いはちっとも至らなかった。
 植林があって営林があって、多雨の日本は各地で名水を育んできた。山が水をつくり、その水は田を潤し畑を潤ししながら都市へと流れ込み、産業を育てながら海へと注ぎ込み、魚介を育てた(のだそうだ)。常に水を「搾取」する都市の民でしかなかった僕には、蛇口をひねれば迸る水道水の向こう側に連なる山の物語は、これっぽっちも想像の及ばないお話だった。お恥ずかしい限り。同じ著者の手になる『日本の風景を読む』を読んだ時と同じように、ずぅんと心に響いた。おもしろかった。それにしても日本の農山漁村の風景は美しい。どこもかしこも、ではないにしても。
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by mono_mono_14 | 2006-07-06 20:36 | 本/libro | Comments(0)
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