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淺井愼平『銀塩肖像』

 淺井愼平と言えば、ちょっと有名な人なんじゃない? ・・・たぶん、ちょっとどころじゃなく有名な人だと思うのだが、ランチついでに時折足を運ぶ新刊書店の脇に写真展の案内ポスターを見つけた時は、僕がランチついでの定番コースで見つけるにはあまりに不釣り合いなビッグネームに思え、違う人のことかもと思ったりしてしまったのだ。ちょっとどころじゃなく有名な淺井愼平で合っていた。
 四ッ谷のポートレート・ギャラリーで開催中の『銀塩肖像 1966-1977 ビートルズから始まった』と題された写真展は、ざっと30-40年前に撮られた内外著名人の大判のポートレート約50点を集めたもの。最初に展示されているのはビートルズの4人。いきなりノックアウト。シャレにならないカッコよさ。そこからにじみ出る内省的な翳り。タバコに火をつけるリンゴの美しさは衝撃的なほどだった。
 ビートルズに続いて映画俳優、ミュージシャン、女優にタレントと、現在も活躍中の顔が並ぶ(もちろん中には他界した顔もある)。ほとんどの作品がモノクロームで、ロケではなくスタジオでの撮影だ。
 それにしても、被写体が放つたぎるような迫力は何なんだろう。時代? 豊かさの階段を挙国疾走していた時代がたぎっていたんだろうか。若さ? 現在の姿を透かして見る彼らの若さがたぎっているんだろうか。写真が放つ緊張感に気圧される。懐かしさはほとんどない。ただただ迫力だけがある。ひとりずつに見とれてしまう。月末までやっているからまた見に行こうかな(何しろランチついでに寄れるのだ)。今日のスターたちを撮って40年後に眺めたら、どのようなヴァイブが放たれるんだろう。40年後の鑑賞者もやはり気圧されるんだろうか。そんなことが、ふと、気になった。
by mono_mono_14 | 2006-01-11 18:33 | 文/cultura
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