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『極上のイタリア食材を求めて』(購入編)

 お昼ご飯をどうしようか決めあぐねたまま、とりあえず四ッ谷駅の方へ出てきてしまった。行き先が定まらないので、僕の定番コースとは逆向きだけれど、アテはないまま本屋へと立ち寄った。本屋の中ですら所在なげにうろうろするばかりだったのだけど、ふと書架の1冊の背表紙に目が留まった。本屋の神様(の丁稚さんくらい)が助け船を出してくれたのかも知れない。
 『極上のイタリア食材を求めて』という本なのだけれど、実は、題よりも訳者の名前の方に先に気づいたのだった。北代美和子さん。もちろん存じ上げないわけだけれど、彼女が訳した『フーリガン戦記』という本をとてもおもしろく読んだことがあり、以来、彼女の名前はとてもポジティブな印象とともに僕の記憶に残ることとなった(前にも書いた)。文章の温度感がとても気持ちいい。ともかく僕は、証拠ははなはだ少ないながらも、北代さんが翻訳を手がけた本で僕の関心領域に引っかかってくるテーマのものがあれば、それは“買い”でいいんじゃないか、と思っていて、今日も本屋の神様(の丁稚さん)のおかげで、その1冊に巡り会ったのだった。

 この本を買ったこともあって、ランチは、四ッ谷駅にあるイタリアン風食堂『Tucci's』(正直、僕はイタリアンとは認めたくない)でマルゲリータということになった。実のところ、ここのピッツァはそんなに美味しいとは思えないのだけれど、手にしている本の都合上、イタリアっぽさがあることが望まれたし、少しぐらいゆっくり食べても大丈夫なことも求められた。隣のポールでサンドウィッチを買って会社で済ませるという手もあったけれど、やっぱり店で食べたくなっていた。

 注文を済ませ、さっそくプロローグを読む。・・・んー、よい。ただの食材紀行ではなさそうなわくわくする感じ、早く本編へと読み進めたくなるようなどきどきする感じ。そしてポップでロックでジャジーな文章。この文体が、僕はとても好みだと思う。たぶん、書き手のイギリス人の独特のユーモア感などとの絶妙のコンビネーションでもあるんだろうなと思う。本の感想はまた後日(予定)。ぱらぱら読んだ中から一文だけ紹介。「どういうわけでしょうね……国が民主的になればなるほど、食物は悪くなる。」(p.269)
 僕は訳者に目を留めたという風変わりなアプローチだったけど、ふつうはタイトルに目を留めるんだろうと思う。そういう場合は、「プロローグ」もさることながら「あとがき」を立ち読みしてみてほしい。「イタリア」に目が留まった人も、「食材」に目が留まった人も、もう一歩、本の中身に興味が惹かれそうになるんじゃないかなと思う。著者はウィリアム・ブラックというフードライター。
by mono_mono_14 | 2005-11-22 20:23 | 本/libro
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