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タモリに学ぶ都市計画

 昼時に歯医者に寄ったので、そのまま新宿三丁目の「ジュンク堂 新宿店」まで足を伸ばす。しばらく前より探していた『タモリのTOKYO坂道美学入門』をようやく見つけた。『カイエ・ソバージュ』シリーズも全5巻をまとめ買い。

 坂道入門は、実にマネしたくなる本だったけれど、そしてマネできそうな錯覚を持つけれど、絶対に無理だ。この本のミソのほとんどはタモリが語る坂にまつわるウンチクであり、それを語れるほど勉強しない自信と、タモリみたいな滋味あふれる語り口に至れない自信がある。それでも、僕の家の近くにも会社の近くにも坂はたくさんあるし、坂の名前や由来を記した碑や看板も立っているから、そこを愛でつつ写真を撮ったりすることは十分に可能なので、きっと「なんちゃって版」をやってしまいそうな気がする。
 街づくりっぽいことの中で、23区が独自に個性的なことをやれる領域は、実はあんまり多くないし、予算も多くない。名所や旧跡、由緒ある坂などを紹介したり、それを結ぶお散歩ルートを考えたり、というのは、まさに、区が自由にやれて、区民の顰蹙を買うリスクも低く、低予算で実現可能という、貴重な現場なのだ。その結果、多くの坂が歴史的な由緒とともに紹介されている(以下、タモリの取り上げた区でいくつか探してみましたよ。必ずしも坂に限らないけど)。
  ◎港区 ◎文京区 ◎目黒区 ◎千代田区
 しかし、これらのどれよりもタモリの目線と語りは深い。そして無責任に軽くバカっぽい(ものすごくいい意味で)。何よりもそこがいいのだ、また。
 坂道にも路地にも歴史的な由来がある。モダンとされる都市計画は、もちろんそれなりの理屈は備えているのだけれど、しかし、あまりにもそれらを無視した考え方で進めすぎてきた。そういう反省がなされている。タモリに学ぶ時なのだ。・・・タモリに学ぼうと思って、イントロを熟読していたら、ふと「見えがくれする都市」を再読しようかなという気になってしまった。まだまだ未熟だなあ。

 余談。この本でタモリが坂道を「勾配」「湾曲」「江戸情緒」「由緒」の観点から5段階評価を与えているのだけれど、それを見ていて、団地を独特の視点から評価している僕のお気に入りサイト「住宅都市整理公団」を思い出した。タモリが副会長を務める日本坂道学会は2名の学会員で構成されているそうだが、こちらの公団も2名で構成されている。彼らが提示する団地の美学は、リンク先のウェブサイト上部のメニューからお楽しみください。

 こぼれ話。今日、電車で隣に立った人が黒い「iPod nano」をくるくる撫でていた。思いがけずと言うか、あんまりカッコよくなかった。たぶんその人のせいではなく、プロダクトとしてどこかが失敗しているように映った。立体的なプロポーションが悪いんじゃないか、もしかして。ま、現在の僕は音楽を携帯しない人に成り下がりきっているので、あまり関係のない話ではあるのだけれど。
by mono_mono_14 | 2005-10-07 22:05 | 雑/quotidiana
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