人気ブログランキング | 話題のタグを見る

『チャーリーとチョコレート工場』

『チャーリーとチョコレート工場』_b0018597_21265423.jpg 『チャーリーとチョコレート工場』を六本木ヒルズで観た。映画を観るのはいつぞやの『オペラ座の怪人』以来のような気がするけれど、映画館で観る映画はやっぱりいいなあ。しかも、とても楽しい映画ですごくツボに来た。
 というわけで、この先、ネタバレあります。で、無意味に長くなってしまいました。



 公言するのはちょっぴり憚られるけれど、ウンパ・ルンパは僕の理想とするキャラ(の一断面)で、ツボにハマッたどころではなかった。ウンパ・ルンパが主役の映画ですよね? 違うんですか? 彼らのダンスDVDとか出ないのか。赤坂プリンスでクリスマスディナーショーとかやってくれないのか。

 たぶん、道徳っぽいお話なんだと思う、底の方に流れているのは。なんだろう、例えば、純真とか、清貧とか、誠実とか、家族愛とか。他人を貶めようとしたり功を焦ったりする態度は悲惨な結末を招くとか。“ワシントンの桜の木”的な道徳訓を内包したストーリーなんだと思う。ゴールデン・チケットを得た5人の子どもとその親たちのうち、チャーリーたちを除く4組はあからさまに現代的に病んでいた辺りもブラックユーモアに包んだ批評と言うか警鐘と言うか、そんなニュアンスがあったとも言える。その点で、「チャーリー、そのゴールデン・チケットはどうしたの?」と家族の誰も尋ねなかったのは、ちょっとびっくり。必死の2枚が外れてしまって、なお追加でチョコレートを買えるような状況ではないはずだったのに。盗んだワケではないからいいけど。

 でもね。そんな話を超越してウンパ・ルンパですわ。チャーリーとその家族たちがある種のユートピックなニュートラルの位置にいて、あとはエキセントリックに病んでいるとすると(ジョニー・デップ演じるウィリー・ウォンカも含めて)、その病んだバランスをニュートラルの位置にまで引き戻し、かつポジティブなヴァイブを与えているのはウンパ・ルンパたち(と複数で呼んでいいのか悩む)。というかこの作品の娯楽性のキモだ。素ん晴らしい。ウンパ・ルンパの出自がプリミティブだという点は、ある種の文明論的メッセージかも知れない。・・・と言うか、こういうふうにヘタに深読みする映画ではないな、たぶん。とにかく、僕はウンパ・ルンパが大好きだ。性別年齢不問で一緒にウンパ・ルンパ隊(なんだそりゃ)をやってくれる人を募集したいよ。

 ジョニー・デップもすごかったな。目が異常値だった。誰が仕立てたのか知らないけれど、トータルのイメージづくり(髪型、メイク、衣装etc)もすごくよかったし。そして、歯みがき教習を受けている最中の僕には看過できなかったのだが、歯がただならぬキレイさだった。それとも映像処理なのか。

 工場が工場離れした壮大さでイカしてた。ゴンドラで行くところなんかはガウディみたいだった(コロニア・グエル地下聖堂とか)。工場内のチョコレートの滝が流れている場所、ウンパ・ルンパが衝撃の群舞を初めて披露する場所でもあるのだけれど、ここが本城直季の写真みたいでちょっとウケた(ちなみに本城さんは現実の風景をジオラマ模型みたいな味わいで撮る写真家)。それにしても、お菓子のイメージがケバケバしくて美味しくなさそうなのがアメリカっぽかった。・・・アメリカの映画ですか?

 僕が、その人の評価を一方的にとても信頼している人が、ウェブログでこの映画の原作(?)バージョンを激賞していたので、そちらも観てみたいなあ。DVD買うか?
by mono_mono_14 | 2005-10-01 23:59 | 文/cultura
<< 「新しいフェイントを覚えて」 ゆく年くる年 >>