過去から来た未来──『建築家 清家清 展』

Mi pare che Kiyoshi Seike pensasse sempre a fare un spazio neutrale e flessibile per creare un spazio piu' agiato. La via che Seike sceglieva a camminare sarebbe ancora valido oggi in ventunesimo secolo.

b0018597_1814812.jpg 清家清という建築家についてはほとんど知るところがなかった。名前や風貌を知っている程度で、つまり知らないと言えるだろう。にも関わらずと言うか、だからこそと言うか、今週末で終了となる『建築家 清家清 展』を覗いてきた。せっかく半休にしたのに胃カメラだけでは悔しいじゃんってことで。会場は、汐留の高層ビル群の一角にある松下電工ビル4階の「松下電工汐留ミュージアム」。



 会場に入ると「私の家」(自邸)室内のモックアップ(原寸模型)。床や壁、本棚などはぺなぺなだけど、使い込まれた製図板や机など、本人のものらしき小物があれこれ置いてあった。使い込まれて古びた木の机や、もしかするともはや誰も使っていない道具となったのかも知れないT定規とか、シブかった。木の老い方っていいな。空間スケールとしては、やや天井が低いと思うけれど、それはしょうがない、50年前はそういう時代だった(と書いたが僕は生き証人ではありませぬ)。
 「移動畳」というのがあって、それがとてもよかった。半畳の四角い畳を4枚並べて台に載せ、底にはキャスターをつけた1坪サイズのレイアウトフリーな畳の小上がりだ。室内外を問わずごろごろ動かして使ったのだと言う。
 庭に畳を持ち出すことからもわかるように、室内も屋外も等しく生活空間として捉えられている。それが「Living-Garden」──居間の延長上にある空間としての庭、という概念にも現れている。バーベキューやパーティができる庭、という感じではなく、草木が生え風雨にさらされる部屋、という感じ。この両者には違いがありますかね? 僕はあると思ってるのですが。

 清家の描く住宅において、「舗設(しつらえ)」(しつらい、室礼とも)という概念が非常に重要とされていたようだ。フレキシブルでニュートラルな空間を目的に合った場にしつらえていく。日本の住宅、暮らしにとっては割と当たり前だった行動原理、空間構成原理を大事にしたいと考えているようだった。スケルトン・インフィルの原形とも言える。スケルトン・インフィルという考え方は、これからの都市も含めた空間構成にとって、大事になってくるはずなのだ。もうスクラップ&ビルドは難しく、つくった建物はストックとして使い回していかないといけないはずだから。
 nLDKのマンション、世の中に多く出回っている家具、それらは空間を目的的に固定する方向に作用しているけれど、それが結構、不自由なことは、まさにそんなnLDKタイプのマンションに設置型の家具を置いている自分の暮らしで痛感している。もう少し可変性の高い空間仕様で暮らすようにシフトしたいなあと思っていたところなのだ。半世紀も前に清家が示した方向が、今の僕の未来を示している。余談だけど、イタリア語で家具を「mobile」というが、いかに家具が動いて空間をしつらえるものかを表しているように思う。

 清家清はなかなかの趣味人だったようで、愛用したバイクはランブレッタ。かのポール・ウェラー大先生も愛用されたというオサレスクーターの名品。若かりし清家は、ランブレッタでコペンハーゲンからイタリアまで回ったそうで、1日に200キロを走ったりしたこともあると言う。柔和な顔して無頼だ。そのランブレッタを持ち帰って日本でも乗っていたそうで、おぅ、そいつぁなかなか見どころのある若い衆じゃねぇか、気に入った。展示してあったランブレッタはアンティークなオーラを放っていた(僕にはね)。

b0018597_18142110.jpg 展示には住宅以外の作品もあったのだが、万博や五輪のような国家的プロジェクトよりも、身近な誰かのための住宅の方が圧倒的に魅力的に映った。清家清は、おそらく終生しなやかな感性を失うことなく、子どものように瞳を輝かせながら、空間を、暮らしを、構想していたのだろうと思う。こぢんまりとした展示だったけれど、覗いてみてよかったな。掲載写真の雰囲気がよかったので図録(1,050円ナリ)も購入。写真は図録とチケットの半券。
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by mono_mono_14 | 2005-09-22 18:16 | 文/cultura | Comments(4)
Commented by mariko at 2005-09-22 23:39 x
私もほんとは今日行こうと思ってたのですが、友達も行くということになって日曜日に延期。原寸模型とか楽しみだなぁー。
やっぱりmonoさんの感想は私のアバウトな感想とは違って専門的で素敵ですね(笑)
今日は阿部勤さんの講演を聞いてきたんですが、自邸の話がいろいろ聞けて、すごく面白かったです。
Commented by mono_mono_14 at 2005-09-23 17:04
原寸模型にはズカズカ入れるし、移動畳にも座れます。別のコーナーには浴槽の寸法実験を体験できるところもありました。僕はビデオをきちんと見てこなかったんですが、時間があればぜひ。
僕の感想はちっとも専門的じゃないですよ(笑)。marikoさんの方がよっぽど一生懸命、専門的に建築に取り組んでいるじゃないですか〜というわけで感想文を楽しみにしておりマス(笑)。
Commented by mariko at 2005-09-26 23:09 x
つたない文ですが、感想アップしました◎
Commented by mono_mono_14 at 2005-09-27 01:27
簡単なものですが、感想にコメント残してきました◎
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