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不意に「ヴェネツィア的生活」が

Che sorpresa! Incredibile! Oggi l'autrice di "alla veneziana" mi ha dato un e-mail. Lei, Tenco-san mi ha informato anche l'indrizzo del suo bellissimo sito internet. Grazie a Tenco-san. Allora vi darei una mia piccola storia veneziana per commemorare questo episodio.

 なんと、ヴェネツィアの話をした時にちょこっと紹介した『ヴェネツィア的生活』を書かれた角井典子さんからメールなどいただきまして。エントリを読んでいただいたらしく。びっくりだー。まさに「ビバ、インターネット!」状態。ご自身の素敵なウェブサイト『GAZZETTA TENCO』もご紹介していただきました。もう何年も稼働しているサイトのようなので、ご存じの方も多いかも知れませんが...。僕は知らずにいましたよ。典子さん、どうもありがとうございました。

 というわけで(どういうわけで?)、僕のなけなしのヴェネツィアを。



 僕がヴェネツィアを訪れたのは、1998年の5月半ばの3日間。それがすべてだ。その3日間(実質は丸2日間)も効果的に使ったとはとても言えず、結果的には、2時間の映画のほんの15秒の予告編みたいなヴェネツィアだった。それでも(あるいはそれだから?)、僕はこの街がとても気に入った。

 サンタルチア駅から水上バスに乗りサンマルコ広場の辺りへ。宿泊先はダニエリ。はい、うそです。ダニエリを通り過ぎた辺りにある、思わずそのまま通り過ぎそうになったこぢんまりとした、でも窓からの眺めのいいスキアヴォーニのホテル。名前は、忘れちゃった。カタカナにすれば3文字くらいの、サボイとかチロルとかビスコとか、そんな感じ。・・・わかりました、調べますよ、調べますってば。・・・引っ張り出してきた旅程表によればSavoia&Jolandaというところでした。3文字どころじゃないじゃん。おかしいな。窓から大運河の河口とラグーナが見えて、とても気持ちいい小さなホテル。湘南ボーイ(詐称)ゆえ、海を見ているだけでぼかぁしあわせだなあ。
  ◇◇◇
 鳩まみれのサンマルコ広場へ向かい、鐘楼に昇る。少しガスってる感じの天気だったけれど、おお、見える、見えると心秘かに喜んでいた記憶あり。この鐘楼から望めるぎっしりと連なる屋根並みと煌めく水面が織りなす風景がヴェネツィアのヴェネツィアたるゆえんのひとつだと思う。路地と水路が入り組んだ足もとや、数多の文化が行き交ったさまをとどめる建物のエキゾチックなディテールも、ヴェネツィアをヴェネツィアたらしめているのは言うまでもないのだけれど、高みから見えてくるヴェネツィアというものが確かにあると、僕は思う。焼けてしまったフェニーチェが再建のまっただ中。広場から飛び立つ鳩の大群を撮した写真の絵はがきを買った。やっぱり、鳩、多すぎだと思う。
  ◇◇◇
 適当にぶらぶらしていて、うっかり(?)入ったリストランテ。イタリア的には晩ご飯には早い時間帯だったこともあって、ほどよい広さの店内に客はまばら。カメリエーレとお互いにブロークン気味の英語でやりとり。「中国人か?」「日本人だ」「東京じゃないだろ?」「東京だ」「こんなに背が高いのにか?」「・・・?」。東京と背丈の関係についてヴェネツィアに風評が流れている可能性あり。魚のスープなどお上りさんふうに頼んだように思う。美味しかった。魚を取り分けてくれたカメリエーレの流れるような手つきがカッコよかった。
  ◇◇◇
 ローマで買ったワインをヴェネツィアまで抱えていたのだが、オープナーがない。今から思えばホテルに借りれば話が早かったかも知れないのだけれど、安いのを買って来ようと思った僕は、ぶらぶらしている時に見かけた生活雑貨を扱ってそうな店に入って、ジェスチャー付で「ワイン・オープナー」とカタカナ語(なんじゃそりゃ)を駆使するも、数人環視の中、1ミリも伝わらず敢えなく退散。しかし。捨てる神あれば拾う神あり。たぶん誰にも捨てられてませんが。スキアヴォーニでいんちきくさい観光土産を売っている屋台に、どうあっても「Made in Italy」ということはないだろうという、「VENEZIA」と記されたオープナーを発見。日本円で数百円だったと思う。喜び勇んでこれを買い求める。ちなみにこの逸品、現在も我が家でメイン・オープナーとして日々ご活躍である。
 ワインのお供もいるでしょう、ということで、こちらはサルメリーア(らしき風情のお店)に突入。カタコトと言うか単語だけのイタリア語でおばさんにリクエストを告げてみた。結論としては、品名のみが伝わった。表記を読んだからだ。量の伝え方を知らなかった(今も正しくは知らないけれど)。僕の言い訳としては、表記が(キロ)グラム売りだから、注文もグラム(エット)で伝えてみたんだけど、おばさんの「まったく困った東洋人だよー」という表情から察するに、おそらく「何切れ欲しいのか?」を伝えるところだったんだと思う。それでも適当な量を切り出して売ってくれた。
 ともあれ、このようなプロセスを経てたどり着いたワインなひとときが格別であったのは言うまでもない。
  ◇◇◇
 基本的に「個人旅行」シリーズのガイドブックの地図を頼りに歩いていたのだけれど、この地図が正確なことには驚いた。さすが昭文社。地図のデキは昭文社が群を抜いていると思う。これと普通の観光マップとを較べたら、ポートレート写真と福笑いぐらい違う。ま、ヴェネツィアの場合、ただの散策でよければたぶん地図なしでも何とかなりそうだし、むしろそれが楽しいのかも知れないという気もする。

 わずかばかりのヘタクソな写真(例えば下に貼り出してあるような)をあらためて見返していても、この奇跡的な唯一無二の街が放つ派手なようでいて、たぶん実は思いのほか慎ましやかなオーラに引き寄せられる。この時の訪問が15秒の予告編みたいになってしまったのにはそれなりの理由もあったのだが、それはともかく、再訪の機会があったら(magari!)、住んでる人には見えないけど観光客っぽくもないなというくらいの微妙な存在感であちこちうろうろしたい。ってそれは不審者か。
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【ホテルの窓から】
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【鳩と少女】
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【鐘楼から】
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【夜の広場】
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【まだ起きやらぬ街で】

by mono_mono_14 | 2005-07-29 23:59 | 伊/italia
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