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ジョイス@ブルーノート東京

Mi sono visto un cencerto di Joyce con Dori Caymmi al Blue Note Tokio a venerdi' sera. Era fantastico ma onestamente volevo piu' emozioni e meraviglie. Una canzone che loro facevano (forse Amazon River) mi dava una grande commozione.

ジョイス@ブルーノート東京_b0018597_156166.jpg ちょっとおマセなリセエンヌみたいな表情を時折覗かせながら、ジョイスは大らかにたおやかに歌っていた──。

 夏の恒例行事となっているジョイスのゲストつき来日公演。今回のゲストはチャールズ・ブロンソンに扮した岡田真澄。違う、ドリ・カイミだ。大御所だから名前くらいは知っているけれど、でも自覚的に聴いたことはない。金曜日のセカンドステージに行った。



 バンドが登場。ジョイスは大きく片手を上げながら笑顔で入ってくる。オープニングはバンドのテーマ曲「A Banda Maluca」。飛ばしてる。走ってる。躍動感というか疾走感に溢れるグルーヴ。僕がなぜだかまたもや徹夜明け(+カイピリーニャ)のコンディションだからかも知れない。徹夜明けのライブはトリップしやすくてオススメですー(やけくそ)。
 数曲を終え、「ギターノセンセイネー」というジョイスの日本語MCとともにドリ・カイミがステージに上がる。ドリ・カイミは、風格──という言い方はちょっとズレる感じがするな、何て言うか、ある種のゆとりを感じさせた。ギターも声も佇まいも。気むずかしそうな表情なんだけど、案外お茶目な人柄を彷彿とさせるシーンがあちこちにあり、ステージを楽しんでいるようだった。
 ドリ・カイミが引っ込む前に最後に演った曲がとんでもなくスゴかった。曲名は知らない。映画音楽のような雰囲気の曲だ。ドリとジョイスがスキャットを重ねる。技巧的なスキャットではない。だけれど、溢れ出る情感、魂が天空と大地に還るようなスキャットだ。生きることの喜怒哀楽をひとつの風に縒り合わせて解き放ったような感じ。心身ともにどこかに連れ去る竜巻のような力を秘めたそよ風だ。ステージングも合っていた。本編ラスト、風のように駆け抜けていった「Feminina」もカッコよかった。
 ジョイスの声は風のようだなと思う。目に浮かぶ風景にはいつも風がそよいでいる。ジョイスの声が導く風景は、どちらかと言えば曇り空で、土色の大地が広がっていて、まばらな緑があって、風が吹いている、という感じの絵なのだ、僕にとっては。ジョイスの音楽は、どちらかと言えば都会的なんだろうと思うのだけれどね。

 バンドがよかった。もしかすると音づくりのバランスがよかったのかも知れない。ピアノのアンドレ・メーマリは1曲目から入魂の演奏。うまいと感じたけれど、でも彼より上手いピアニストはきっとごまんといるとは思う。でも彼がノッて演っていることだけははっきりと感じられた。たぶん、フロアもそれを感じてる。ソロ・パートが終わると盛大な拍手が起こった。それがさらに彼をノせた感じがした。ドラムスのトゥチ・モレーノもよかった。シンバル(といっても何枚かあるわけだけれど名称は知らない、右上にある大きいシンバル)の音がとてもシブかった。ピアノとドラムスが躍動感あるグルーヴだったのに対し、ロドルフォ・ストロエターのベースはうねる水流のようなグルーヴだった感じがする。でもロドルフォ、キミの感の極まり方はヘンだよ。演奏するキミを見ていて僕は、ギルバート・グレイプのレオナルド・ディカプリオを思い出してしまったよ。

 難を言えば(と言うか難癖をつければ)ステージが安定しすぎている。いつものように「A Banda Maluca」に始まり何曲か演ってゲスト登場、何曲か演ってゲスト退場、もう何曲か演って「Feminina」で終わる。間違いがなくて安心できるけれど、ちょっと淡々と構成されすぎていてもの足りない(食い足りない)、そういう感じはあった。でも、あの曲──ええい、曲名を知らないのは不便だ──が、もう5分続いていたら、僕はどこかに連れて行かれてしまったことだろう。8,400円のうち6,300円くらいはあの曲に払ったんだと思う(このライブはギフトだったから払ったのは僕ではないのだけれど)。

 追記。以上をいちおう書き上げてからググったりCDラックをひっくり返したりして、「あの曲」がどうやら「Amazon River」であることを(ほぼ)確認した。たぶんね。
by mono_mono_14 | 2005-07-16 23:59 | 音/musica
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