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畠山重篤さんの講演。

Il gran ostricaio Shigeatsu Hatakeyama, uno degli eroi della foresta, mi ha dato tante cose di importante tramite i suoi libri, e anche sta volta mi ha colpito con una bella conferenza appassionata. Credo che lui sia l'eroe di questo pianeta.

 暴風雨が接近するなか、あの畠山重篤さんの講演を聴きに行った。さいわい、会場の日経ホールへは、いくらか遠回りを強いられるものの、地下鉄駅から地下通路だけで行くことができるので、風雨の問題はひとまず回避できた。

 講演に先立つシンポジウムには1時間ほど遅刻したので、興味深いいろいろな話を聞き逃したかも知れない。でも、僕なりに貴重な話を聴くこともできた。備忘メモを兼ねて書きつけておこう。畠山信さんの発言。
 ……漁師は二分化されてきている。復興に向けて意気込んでいる人たちと、心が折れてきている人たち。復興へ向けたスタートが遅れれば、収入が入るタイミングも遅くなる。すると、心が折れやすくなる。震災後、ガレキ処理をすると日当がもらえた。生業の復旧を後回しにしてガレキ処理に携わったような人たちが、今、生業の先行きが見えないことにくじけはじめている。最初から漁業の復旧に向けて歯を食いしばった人たちは、少ないながらも水揚げができるようになってきた。その差がはっきりと出ている。
 ……支援を受ける能力が必要だ。何か手伝えることはないか、と訊かれ、じゃあ、これをお願いしようかな、とどんどん言える能力。漁師一筋みたいな人にはけっこう難しいが、外部からの支援なしでは復興はとうてい不可能。
 ……いろんな人が来て、正直、迷惑してる。でも、迷惑と思われてるのかも、と遠慮したくなる心のハードルを乗り越えて、ぜひ遊びに来てほしい。

 唐桑町舞根地区の復興に関わっている人たちが、舞根を復興のモデルにしたいと静かに意気込んでいた。自然と暮らしが一体となった豊かでサスティナブルな地区ができそうな筋立てが紹介されていた。できそうに思った。モデルになるかは、つまり他の地区が参考にできるかどうかは、また別の問題。情報の発信と受信のレベルとリテラシーに多くを負う。それでも、過程を丁寧に記述し、残しておくことはとても意義深いだろうと確信するし、なされるべきだと思う。

 畠山重篤さんのフォレストヒーロー受賞記念講演は、とても素晴らしかった。内容の概略は、後日、日経新聞紙面で紹介されるそうなので、ここでは控えておくけれど、僕は、なぜだかわからないがときおり涙がにじんで、我ながら少なからず驚いた。必ずしも感動的なエピソードが披露されているわけでもなかったのだけれど。心を打たれたのだ、きっと。森のヒーローにとどまらない、地球のヒーローがそこに立っていることに…。復興は、巨大津波に負けない防潮堤を築き上げることなんかでは決してなくて、森・川・里・海の連環を取り戻すことなのだ、という天啓のような主張に…。これまでの歩みを駆け足で振り返るような内容を、朴訥と軽妙洒脱をカクテルにしたような話しぶりと身ぶりで熱く語り続けた。ホールの天井を見やりながら、大きな身ぶりで、汽水域のかけがえのなさ、森と川と人と海がひとつながりであることを語っているその目には、きっと舞根湾を交点としてわーっと広がる青い地球あるいは全宇宙が映っていたのだ。

 畠山さんの本に、僕は多くの知的恩恵を受けている。畠山さんたちの復興の過程で、僕はその恩返しをしなければならない。義援金を送るしかできないときにはわずかばかりの義援金を送り、牡蠣や帆立の水揚げが増えたときにはその海の果実を購入し、足を運べる機会に恵まれれば行って舞根の自然に浸る。現地より発される情報に敏感になり、いつも心のどこかで復興を祈っている。サウイフモノニワタシハナリタイ。なろう。
by mono_mono_14 | 2012-04-04 13:56 | 雑/quotidiana
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